切迫早産は、早産に至る可能性が認められる状態をいいます。
早産は妊娠22週以降37週未満に分娩に至ることを言います。日本での早産率は5-7%で、決して稀な病気ではありません。万一早産に至った場合、分娩週数や状態により、赤ちゃんに合併症の可能性が生じます。特に未熟な週数の場合は、重度の合併症や命に関わるケースもあります。
切迫早産の状態とは、性器出血や破水、子宮収縮、内診における子宮口開大、などが確認された場合です。病状が進行すると早産の危険性を伴い、慎重な管理が必要です。
早産の原因はわからないものも多いですが、原因が推定できるものもあります。また、早産になりやすいリスク因子も多数知られています。リスクを有する方には、診察回数を増やしたり追加の検査を行うなどして、切迫早産の早期発見・早期介入を心がけています。また、喫煙やアルコールは早産のリスクを高めるのみならず、胎児への直接的な悪影響も知られており、原則中止の方向で指導をしています。
①過去の妊娠歴や産科合併症より
早産や前期破水の既往、切迫早産の既往、頸管無力症
②現在の妊娠経過より
多胎妊娠、前置胎盤、血腫、感染、羊水過多
③既往歴・合併症より
子宮疾患(子宮筋腫・腺筋症、子宮形態異常(双角子宮など)、子宮頸部円錐切除術後)、
高血圧症、膠原病(全身性エリテマトーデス、など)
④生活習慣や社会的背景より
喫煙、アルコール、性交渉、若年妊娠
妊娠22週以降37週未満において内診や経腟超音波所見で性器出血や破水、子宮口開大などを認める場合に切迫早産と診断します。また、子宮収縮や強い下腹部痛など自覚症状を参考に、胎児心拍モニターで評価を行い、子宮収縮の増加が認められた場合も診断に至ります。
治療内容は週数や重症度にもよります。経過観察が可能な場合もあれば、自宅安静や張り止めの内服を指示する場合、また入院にて安静や張り止めの持続点滴を要する場合まで様々です。
病状進行を少しでも抑えるために、診察担当医と治療方針をよく相談してください。
当院は県下唯一の総合周産期母子医療センターであり、早産児の治療は週数に関わらず当院で可能です。新生児集中治療室(NICU)などで新生児科医による専門治療を行います。
治療や病床運営に関しては、県内・県外の病院と連携して行っています。