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腫瘍について

遺伝性腫瘍について

最近、遺伝性腫瘍についての知見が深まり、産婦人科も無関係ではないことがわかってきました。産婦人科にも関わりがある遺伝性腫瘍として代表的な5つを挙げます。

・HBOC(hereditary breast and ovarian cancer, 遺伝性乳癌卵巣癌症候群):卵巣癌、乳癌(その他、胃癌、膵臓癌、前立腺癌など)
・Lynch症候群:子宮体癌、卵巣癌 (その他、大腸癌、尿路系癌など)
・Peutz-Jeghers症候群:卵巣癌、子宮頚部最小偏倚腺癌(以前の呼称;悪性腺腫) (その他、消化管ポリポーシス、消化器系癌、膵臓癌など)
・Li Fraumeni症候群:乳癌 (その他、軟部肉腫、骨肉腫、脳腫瘍など)
・Cowden病:子宮体癌、子宮筋腫、乳癌 (その他、甲状腺癌、腎細胞癌など)

HBOCについて

ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんは、母や自分ががんになりやすい体質かもしれないと知り、遺伝カウンセリングを受けて遺伝子検査をする決心をしました。その結果、自分が母と同じ乳がんや卵巣がんになりやすい遺伝子の変化を持つ事がわかり、まだがんになっていない乳房と卵巣・卵管を、予防的に手術で切除する選択をされました。アメリカでは一般的な予防方法で、日本でも少しずつ広がっているところです。
乳がんや卵巣がんになった方の一部に、BRCA1やBRCA2という遺伝子に、がんの体質と関わる変化(変異と呼びます)があることがわかっており、HBOCと呼ばれています。卵巣癌の20%、乳癌の5-10%が、遺伝性腫瘍であるといわれています。HBOCは乳がんや卵巣がん、膵がんになりやすい体質のことでBRCA1/2遺伝子の「変異」は、次の世代に50%の確率で伝わります。BRCA1/2遺伝子検査によって、乳がんや卵巣がんになりやすいことがわかった場合、がんの予防や再発について知り、定期的に検診を受けることが早期のがん発見と治療につながります。

累積罹患率

リンチ症候群について

リンチ症候群では大腸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、胃がん、小腸がん、肝胆道がん、上部尿路がん、脳腫瘍、皮膚がんの発症リスクが高まると考えられています。MLH1、MSH2、MSH6、PMS2遺伝子や関連する部分にがん体質と関わる変化(変異と呼びます)が認められることがわかっています。これらの遺伝子の「変異」は、次の世代に50%の確率で伝わります。遺伝子検査によって、あなたががんにかかりやすいことがわかった場合、予防や再発についての情報を知り、定期的な検診を受けることが早期のがん発見と治療につながります。

リンチ症候群における関連腫瘍の累積生涯発生率(70歳まで)

種類 累積発生率
大腸がん 54~74%(男性)
30~52%(女性)
子宮内膜がん 28~60%
胃がん 5.8~13%
卵巣がん 6.1~13.5%
小腸がん 2.5~4.3%
胆道がん 1.4~2.0%
膵がん 0.4~3.7%
腎盂・尿管がん 3.2~8.4%
脳腫瘍 2.1~3.7%
皮脂腺腫瘍 不明

遺伝カウセリングについて

ご自分も含めご家族に、乳がんや卵巣がん、大腸癌になった人が複数おられませんか?気になることがございましたら、いつでもご相談ください。遺伝カウンセリングをご案内することも可能です(初回カウンセリング料 5,400円)。遺伝カウンセリングにより、遺伝子検査を受ける必要があるかどうか、受けた時のメリット・デメリットを知り、がんの予防や早期発見・治療のために、最適な判断をして頂くことができます。

関連サイト

日本HBOCコンソーシアム:市民の皆さまへ
MSI検査:リンチ症候群とは
日本家族性腫瘍学会
徳島大学病院:臨床遺伝診療部(遺伝カウンセリング外来)

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