『周産期』『生殖』『腫瘍』と大きく分けて3つの分野があった産科婦人科ですが、近年『女性医学』分野が産科婦人科の4本目の柱として認められるようになりました。
女性医学はそもそも更年期女性の健康管理を扱う分野を中心に発展してきました。閉経前後に起こるさまざまな問題に対応し、その後の生活の質を向上させることを目的としたもので、徳島大学の先輩も多くの実績を積み上げてきました。最近では、思春期から老年期まであらゆる世代の女性を対象とした健康の維持向上に取り組む分野として活動の幅が広がっています。例えば、子宮内膜症は月経痛や不妊症の原因として知られていますが、症状や年齢、挙児希望の有無、さらには患者さんのおかれた社会的な立場などを考慮して、現在だけでなく将来を見通した長期的なスケジュールを考えていきます。手術が必要な場合には、腹腔鏡下手術にも対応できるような体制をつくっています。また、当教室では乳がん検診にも積極的に取り組んでいます。女性に最も多い乳がんの早期発見は、女性ヘルスケアにとって重要な課題であり、われわれ産婦人科医が積極的に関わることで乳がん検診の受診率向上を目指しています。
このように、女性医学は守備範囲がとても広いうえ、患者さんとじっくりと対応し、目の前の病気を治すことだけでなく、さまざまな視点で患者さんにとって真の利益はどこにあるのかを考え、最適な方針を探していく粘り強さが求められます。診断・治療から予防医学まで幅広く取り組める女性医学は、大変やりがいのある領域だと思います。