TOP > 研修医・学生の皆様へ > 関連病院先輩医師からのメッセージ > 紀南病院

関連病院先輩医師からのメッセージ

2020年更新

紀南病院

当院は昭和20年に、近隣の農業会と国民健康保険組合の共同出資により、地域住民の病院として「紀南病院」の名称で開設されました。昭和27年に西牟婁郡を中心とする町村で構成された一部事務組合(現在は田辺市、白浜町、上富田町、みなべ町の1市3町で構成される公立紀南病院組合)が運営することになりました。昭和33年には社会保険庁の管轄となり社会保険病院となりましたが、経営に関しては引き続き組合が経営委託を受け、平成20年には社会保険庁の組織改革により、独立行政法人年金・保健福祉施設整理機構(RFO)に出資されました。そして平成26年3月12日にRFOから、組合に譲渡され、名実ともに自治体病院となり、名称も「社会保険」の冠が外れ、元の「紀南病院」に戻りました。

現在当院は地域基幹病院として23診療科356床(感染病床4床)の体制で診療を行っております。地域がん診療連携拠点病院、地域周産期母子医療センター、第二種感染症指定医療機関、救急告示病院、和歌山県災害拠点病院、へき地医療拠点病院、洋上救急協力医療機関に指定されています。また、医療従事者の教育研修にも力を入れており、基幹型臨床研修指定病院(医科)、単独型臨床研修指定病院(歯科)などに指定されており、多くの学会の認定施設にもなっています。

紀南地域の産婦人科医療と徳島大学とのかかわりは平成3年10月に旧国立田辺病院に大学から医師が派遣されたところから始まります。平成4年7月に旧国立田辺病院と旧白浜温泉病院が統合されてできた国立南和歌山病院(現南和歌山医療センター)には常勤医3名が派遣されました(平成12年4月から5名体制)。一方、当院の新病院移転(平成17年5月)前の平成16年4月に当院にも医師3名が派遣され、一時紀南地域には8名の産婦人科医が徳島大学から派遣されていました。その後、平成18年10月南和歌山医療センターとの医師集約化が行われ、産婦人科医は5名体制になりました。平成26年1月より和歌山県立医大からの医師派遣を受け、現在徳島大学より2名、 和歌山県立医大より3名が派遣され5名体制で診療を行っています。

平成19年1月から地域周産期母子医療センターの認定をうけ、人的には厳しい状況の中、紀南地域の周産期医療の拠点としての役割を果たしています。平成31年(令和1年)の分娩件数は598件、緊急母体搬送は19件であり、在胎26週以降の症例はほぼ全例受け入れています。当院の周産期医療の特徴は何と言っても産婦人科医と小児科医との緊密な連携であり、毎週木曜日に行われる周産期カンファレンスでは切迫早産や合併症妊娠の症例提示を行って情報共有を図り、出生後の新生児の臨床経過のフィードバックを受けています。小児科は24時間体制で救急症例を受け入れており、分娩時の急変や帝王切開の立ち合いにも対応していたただいており、我々産婦人科医の心の支えになっていることは言うまでもありません。

平成31年(令和1年)の手術件数は451件であり、良性付属器疾患は子宮外妊娠も含め可能な限り腹腔鏡下手術で対応しており、良性子宮疾患に対しても腹腔鏡下子宮全摘術、腹腔鏡下筋腫核出術等の症例が増えています。平成26年4月から日本産科婦人科内視鏡学会の認定研修施設として認定され、腹腔鏡下手術の技術認定医を目指す専攻医の先生の修練の場にもなります。悪性腫瘍の症例も多く、集学的治療はもちろん、緩和医療チームとの連携も良好です。

紀南病院は地域住民のための病院です。和歌山市から約100kmの遠隔地にあるロケーションにもかかわらず、各診療科とも充実し、病院スタッフの士気も旺盛です。我々も地域住民に信頼され、住民の方々が遠隔の都市部に行かずとも質の高い医療を受けられるように日々研鑽しています。

ページトップへ戻る